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それから数年後‥‥
S病院の外来で、内科医師として働くサヤカの姿があった。
一方、アズサも、看護師として働いていた。
二人は昼食の時、S病院の食堂で顔を合わせ、サヤカが、
「まさか、イナヤ君の自殺が私たちに、こんな道をもたらすとは、本当に人生って面白いね」
「イナヤ君、あの世で、どう思ってるかな‥‥」
するとサヤカが、
「きっと笑ってるよ。だって医者になるって宣言したのはアズサなのに‥‥ってね」
「だって、医大の勉強って、チョー難ずかしかったんだもん‥‥」
その時、館内アナウイスで、
『内科の田村先生、三階の医局にお越しください』
「あっ、呼んでる。さっさと食べて行かないと――」
「だよねー」
二人は、半分になっていたオムライスを食べ終えると、席を立った。
――終――
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