冷たい人――からのメッセージ

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 サヤカは、アズサのマンションに着くと、すぐに玄関チャイムを鳴らした。  ほとんど直ぐにドアが開いて、アズサは顔を出した。  が、その瞬間「サヤカ‥‥」と抱き付いて、泣き出してしまった。  なだめながら、サヤカが部屋に入り、 「それで、どういう事なの?」 「そのベッドの‥‥冷たい、その人‥‥を見て」 「えっ、ベッドの冷たい人って‥‥?」  思わず身震いを覚えながサヤカは、恐そる恐そる、開いている窓際のベッドに近付いた。  そのベッドの羽毛布団は、誰かが寝ているように盛り上がっていて、見知らぬ男の顔が見えた。 「この男の人って‥‥?」 「ね、冷たいでしょう?」 「冷たいって言うか‥‥死んでるんじゃないの?」  しかしサヤカは、その男に触ったのではなく、雰囲気からそう言ったのだった。 「やっぱり‥‥そうよね‥‥。でも、なんで‥‥この部屋なの‥‥?」  アズサはキッチンの所で座り込んでしまった。  サヤカは、そんなアズサの傍に戻りながら、 「いったい、どういう事なの?」 「さっき起きて、昨夜から用意していたゴミを、表のゴミ置き場まで持っていたの」 「‥‥」 「そして帰ってみたら、何故かベッドの状態が変だった」 「‥‥」 「で、めくってみたら、知らないあの男の人が寝ていたの。あたし怖くなって、混乱して、あんたに電話した‥‥。けど‥‥今になって思うと、やっぱり警察に‥‥」
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