冷たい人――からのメッセージ

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 やがて二人の警官が到着し、イナヤの確認が済むのを待って、アズサが例のメッセージを見せた。  一人の警官がアズサから事情を聞き、マンションの管理会社に確認したところ、その男は間違いなく二階の住人であったことが判明した。  もう一人の警官は二階のイナヤの部屋を捜査し、アズサ宅の裏を捜査した結果、薬剤の残った注射器を発見した。  どうやらイナヤは、アズサ宅の窓の陰で、自分の腕に薬剤を注射した。そしてアズサがゴミ処理に出た直後、素早く玄関から侵入し、ベッドで他界した――という事のようだった。  ここで警官の一人が署に、鑑識の応援を依頼してから、 「これは恐らく自殺でしょう。ただ変わっているのは、決行場所を、最近好きになったアズサさん宅を選んだということです。まさに自分勝手な男の凶行――という事ですが‥‥」  アズサは複雑な心境で、その説明を聞いていた。  もう一人の警官は、イナヤの部屋にあった診察カードから主治医のいるS病院に連絡し、救急車の手配をした。
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