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すっかり車屋の奥さんになった琴子先輩の変わらない優しい声。それだけじゃない。
『さえちゃーん、まってるよー』
『たけちゃんも、まってるよー』
『まってるー』
ママの電話の向こうから、可愛い女の子と男の子達の声。紗英は思わず微笑んでしまう。
あの日。ハウスレストランから四人一緒に出て、四人で食事をした。それからのような気がする? なんでも四人で食べに行ったり、遊びに行ったり、出かけたりするようになった気がする?
「たけちゃんも待っている、だって」
携帯電話を原稿の傍らに置いた紗英はふいに頬が緩んでしまった。
こんな時、紗英はさらに思い出す。兄貴とお姉さんからの『ハッピー・トス』。ブーケとガーターベルトを同じ日に揃ってもらったんだよね……、と。
またスマホがぶるぶる震え、毎日耳にしているメッセージ着信音。もう誰かわかって、紗英は笑顔のままパネルを眺める。
【 龍星轟で待っている 】
※ハッピー・トス 完※
★次回より、結婚後・夫妻編(エブリスタ用に少しだけアレンジ)
このあたりの番外編は、カクヨムさんでは投稿していません
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