9.恋はお終い、小さくても愛なの①

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「男気みたいなところがあるから、余計にお前に、男達は言いやすいんだよ。お前なら、メソメソしないで、頭の回転早く的確に言い返してくるからさ」 「な、なに言ってるの。ていうか。なんでここに来たの」  ワザと二人きりになるように来たとしか思えなかった。  そうしたら、竜太が目を逸らした。今度は口ごもって、なにやら言いにくそう。一度安堵したはずの小鳥は、今度は緊張する。  まさかまさか。き、聞きたくない。『お前のこと、好きだった』とか、いきなりここで言われても。そりゃ、返答はひとつしかないのに。今は嫌だ。もっと違うゆったりした……。ゆったりっていつ?? 一人密かに困惑している小鳥のことなど知る由もない竜太がやっと口を開く。 「土居が……。今日、お前がそんな女らしく髪を下ろしてきたから。告白するとか言いだして……」  ええ!? 思わぬことが、竜太から知らされ、小鳥はますますたじろぎ後ずさった。  まままま、待って? 竜太だけじゃなくって、なにそれ。ヤダ、もう、頭パンクする! うちのクラスの男子、おかしい! なんで男勝りな私なの!?  でも誰が申し込んでくれても、小鳥の返答は決まっている。  それを言おうとしたら、竜太から言いだした。 「きっとお前の気持ちって。花梨に聞いた時から変わっていないと思うから。それとなく土居にも告げていいかな」  彼の横顔が凍ったのを小鳥は見た。自分のことのように口惜しそうに歯を食いしばっているような、そんな力んだ表情。  そしてそれは友人の土居君同様、竜太も同じ気持ちでいるのだと――。
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