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恋はお終い、小さくても愛なの②
バスを降りていつもの道を歩いていると、もうスミレの目が輝いた。
「あれですか、あの、龍の絵がある壁の」
「そう。あれが親父さんの店。龍星轟だよ」
興奮をひっそり抑えている彼女がまた可愛くて、小鳥も笑いながら店先まで連れて行く。
「おう、小鳥。お帰り」
「ただいま。矢野じい」
店先の排水溝を丁寧に掃除している白髪の矢野じいと最初に会う。
「友達かよ。久しぶりに連れてきたな」
「うん。スミレちゃん。この前、私が割ったガラスで怪我させちゃった子」
そういうと、矢野じいがすごく驚いた顔で女子高生二人に近づいてきた。
「まじか、おめえ」
小鳥を見て、次に眼鏡の彼女を矢野じいがじろじろ見ている。だから嬉しそうだった彼女がちょっと怖じ気付いてうつむいてしまう。
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