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そんな苦労をしてきたお祖母ちゃんだからこそ、孫が何をしたとかは両親もわざわざ伝えず、穏やかな毎日を送ってもらえるよう配慮していることが小鳥にもわかっていた。
だから敢えて、スミレとの出会いについては今回も言わない。
「おばあちゃん。彼女もお花の丸いテーブルクロスを作りたいんだって。出来たら手芸部でも作ってみようかなって話になっているんだけど」
「素敵ね。小鳥ちゃんも手芸部に入るの?」
鈴子祖母が時々『学校で手芸のお友達いないの。部活とかないの』と気にしていたことがある。だから今日は笑顔で応える。
「うん。入ることにしたんだ」
横にいたスミレが嬉しそうに微笑んだのが見えた。
「あらー、安心したわ。よかったわね」
そして鈴子祖母も嬉しそうにして、部屋に通してくれる。
すっかりこの車屋一家と暮らすことに馴染んだ祖母の一階住居は、英国のお祖母ちゃんの家みたいな雰囲気でまとめられている。
そんな鈴子祖母のセンスで溢れる住まいを見たスミレがとても感激していた。
もてなしてくれる優しいばあちゃんの手ほどきで、二時間ほど笑い声を交えながらレエス編みを楽しんだ。
「とっても楽しかったです。それにお祖母さんの作品、どれも素敵で感激。私もあんなふうに沢山作りたい」
本当に女の子らしいんだなあと思わせてくれるスミレは、なんだか妹みたいに思えてくるほど、親しみやすかった。
「お邪魔いたしました」
帰り際、事務所の英児父にも丁寧に挨拶をしてスミレが帰ろうとしていた。
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