10.愛車は青い『エンゼル』

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 そして父も、『娘は走りで近づく男を蹴落としている』と聞いて、やっと満足そうに安堵したようだ。 「なんだ。そんなヤワ男とのドライブならいいわ。だけれど、まだまだ若いんだからよ。調子ぶっこいて飛ばすなよ。事故るなよ」 「わかっているよ」 「スミレちゃんはお前が守れ」 「そのつもりだよ。妹みたいなもんだもん」  あれから、スミレとはずっと親しくしてきた。彼女も今年、小鳥と同じ大学に入学。サークルも直ぐに入ってくれた。  そして花梨ちゃんとは、あの後直ぐに仲直り。一ヶ月ももたなかった。夏休みになる前に、花梨ちゃんから『小鳥ちゃん、同じ大学を希望しているから、塾の夏期講習を一緒に申し込んで一緒に頑張ろう』と声をかけてくれた。元に戻ると以前以上に信頼関係も強くなった。花梨ちゃんも女性として強くなってしまい。  そんな親友の花梨ちゃんとスミレは、いつも一緒。大人しいスミレにとって『小鳥がしっかり者兄貴で花梨が怖い姉貴』と、男子達は笑い話にしているくらい。  それ以外にもスミレを守る使命感が。スミレを気にしている弟の聖児が、余計な心配をしないためでもあった……。  年下の聖児は、まだ高校生。手が届かないところにいるスミレ先輩を『姉ちゃんが守れ』と、父親とそっくり同じ事を出かけるたびに小鳥に言ってくる。今朝も、姉の顔を見るやいなや開口一番『スミレから離れるなよ』だった……。  そんな弟とスミレは、一線を越えたのか越えていないのかは定かではないが『いちばん傍にいる異性』という間柄が続いているようだった。いつの間にそうなったのかは、わからない。  やっと英児父が納得して娘から離れていったので、小鳥もほっと一息。
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