11.好きって伝える! 伝えられる??

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 何も言わなくても、小鳥が行こうとしている場所をわかってくれている。……これはもう『一人の決意』ではなく、『今夜は当たって砕けろ』に変更決定のよう。小鳥の中に、何とも言えない緊張が少しずつ心臓にじわじわと迫ってくる感覚。  夜の瀬戸内海がひっそり優しく光る国道をまた一緒に走る。青と白のトヨタ車二台は、ついに岬へ向かう峠道に。  小さな街灯しかない狭い峠道を、走り屋仕様の車がエンジンのうなりを潜め、静かにのぼっていく。そして二人の車は、大きな灯台が照らす灯りの中へ共に辿り着いた。     なにもない真夜中の駐車場に、たった二台の車。白いスープラの運転席から、彼が降りてきた。小鳥もシートベルトを外しドアを開けると、側に来てくれた翔兄がもうそこに立っていた。 「今夜はずいぶん遠いところを目指していたんだな」  やっぱり。不機嫌そうな声。 「うん。そんな気分だったから」 「夜、ここに来るということは夜中の到着になり、帰りは朝方になる――ということをわかっていて……」 『何が悪いか、子供じゃないから判っているよな』なんていう、そういう彼の諭すような上からの目線が時々小鳥を苛立たせる。だから、さらに小言を言われる前に自分から遮る。 「お母さんには、今夜は『岬に行って帰ってくる』とちゃんと伝えている」  すると、翔兄が少し驚いた顔を見せた。 「オカミさんが……? 許してくれたのか」 「くれたけど。それがなにか?」  ちょっと素直じゃない切り返しをしてしまう。そして彼が驚いたのも無理はないかと思う。小鳥には今まで『門限』があった。だけどハタチを過ぎたら門限は解除ということになっている。ただし何に置いても自己責任ときつく言われている。
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