12.ハタチになったら、愛してくれるの?

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12.ハタチになったら、愛してくれるの?

 小鳥の誕生日まで、あと何日?  そう聞かれて、小鳥は答える。 「あ、あと五日」  なんとか答えると、彼が小鳥から目線を外し、ハンドルを握りながら『はあ』と大きなため息をついた。 「お、お兄ちゃん。起きていたの。だっていつも……」  揺すっても起きないこともあったし、声をかけても起きてくれないこともあった。それだけすっと寝込む人だと思っていたのに。 「俺、寝付きもいいけど。目覚めもいい方。ちょっとのことで目が覚める。特に自宅ではない場所での眠りは割と浅い」  えっ。 小鳥は目を見開き、今までのことを思い返し……、愕然とする。 「い、いままでも……じゃあ……」 『だったとして、何故?』と自分で疑問を投げかけ、でも小鳥はすぐに彼が隠し持っていた答が浮かんでしまう。だがそれは、彼にとっては『決して気がついて欲しくないこと。暴かれたくないこと』なのではないかと思うと言えなかったし、小鳥自身もにわかには信じがたい。  彼はもう、目も合わせてくれない。灯台だけを見つめている。そんな翔兄が、作業服のポケットから財布を取り出した。そこから何かを取り出すと、小鳥がいる助手席へと真っ直ぐに手を伸ばし、差し出している。 「これ。小鳥に」 「な、なに。それ」  彼の大きな手からぶら下がっているもの。キーホルダーについている鍵。見たことがない鍵。貝細工で出来ている綺麗な『カモメ』のキーホルダーにつけられている。それを小鳥は首を傾げながら受け取った。 「俺の部屋の鍵」
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