12.ハタチになったら、愛してくれるの?

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「あのやんちゃな女の子でもあって、もう、そうではない。極端に言えば、あのやんちゃ娘とは別人……。『小鳥という彼女』にいつのまにか出会っていたんだな。と、思えるようになったのは……まあ、最近なんだけどな」 「女? 私が?」  子供だと思われていた自分が、いつのまにか、望んでいたそのままに、愛する彼から『女性』として見てもらえていた? 小鳥にとっても『いつのまに?』だった。 「逆に。小鳥は俺のことを、『お兄ちゃん』としか思えていないんじゃないか」 「お兄ちゃんだけど……、」  男の人としてずっとずっと素敵って思っていたわよ! そう叫びたかったけれど、それも恥ずかしくて言えなかった。 「男として受け入れられるのか? 男って、小鳥が思っている『カッコイイ素敵な男』ってことか」  大人の彼がなにもかも見透かしたように、言えないことを投げかけてきた。小鳥は小さく頷く。  なのに。運転席からまた溜め息が聞こえてきた。何故? アナタのこと、男として素敵だと思って、ずっとずっとアナタを見つめてドキドキしてきたのに。嬉しく思ってくれないの? そう思いたくなるぐらい、翔の表情は硬く、不機嫌にさえ見えた。  すると、ため息ばかりついて何かを長く躊躇っていた翔兄が、運転席から急に小鳥がいる助手席まで迫ってきた。彼の大きな身体が突然、シートに身を沈めている小鳥に覆い被さる。 「お、お兄ちゃん?」 「いつまでも、お兄ちゃんじゃない」  そういって、恐ろしいほど真剣な眼差しで見下ろしている彼の手が、小鳥の頬に触れた。 「小鳥。男……、怖くないのか」
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