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でも小鳥もわかっていた。もう子供じゃない。大人のキスがどんなものか知っている。彼が躊躇わずに思うままに愛してくれることに、また涙が滲んだ。
「翔にい……」
私の息も溶けてきている。小鳥は自分でもそう思った。身体も熱くなっている。息が……恥ずかしいほど乱れている。こんなに熱く愛されることが、こんなに甘やかに灼けついてとろけるようだなんて……。
――あと五日だったのに。
再び、そんな彼の微かな囁きを耳にしたけれど、小鳥はもう彼の背に抱きついたままうっとりしていることしかできない。このままずっとずっと彼の唇に愛されていたい。女の感触があっという間に身体の奥で息吹くのがわかるほど……。
でもその直ぐ後、小鳥はビクッと身体を強ばらせた。あちこちにキスを落として愛してくれていた翔の大きな手が、いつのまにか、小鳥の肌を探り当てていたから。
あちこちにキスをされてすっかり恍惚と溶けている小鳥の隙をついて、彼の手はもう小鳥が着ているネルシャツもキャミソールも腰からたくし上げている。
柔らかい小鳥の肌に、熱い男の手。
「お、お兄ちゃん……?」
あと五日だったのに。諦めたようなその呟きの意味は何であるのか、小鳥も気がついた。
え、いま。ここで? このまま、任せてもいい? 流されちゃってもいい? でも、初めて。初めてって言えばいい? ううん。お兄ちゃんは気がついているはず?
「あと五日なんだけどな、」
そう言いながら、小鳥を腕の中に固く抱き寄せたまま、翔の手が下腹から乳房の側まで上ってくる。それだけで、ぞくっと彼の腕の中で震えてしまった。
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