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思ったより爽やかそう。でも……と、英児は珈琲カップを置いて椅子から立ち上がる。テーブルにいつものお洒落なバッグを置いて、英児の目の前で荷物を準備する彼女のそばへと近づいた。
「あの、さ。大丈夫か、カラダ……とか」
あんだけぶっとばしたので、自分の身体はまだ甘さを継続中で心地よいけれど、ぶつけられた彼女はどうかと一応心配してみる。
だけれど琴子は、英児の直ぐ下から見上げてくれて、にっこりと爽やかな笑顔。
「全然。……それどころか、逆にちょっと元気になれたかも」
少し恥ずかしそうに頬を染め、こんな時に、『いいところのお嬢さん』のしとやかな微笑みをみせやがる。また英児の身体の中で、なにかがびくんと反応してしまう。
「琴子、なんか今朝はかわいいな」
「え、なに」
テーブルに手をついて、英児は自分より小柄な彼女を両腕で囲ってしまう。
「いや、いつもかわいいけどよ。なんだよ、もっとかわいい顔しやがって」
いまにもテーブルに押し倒されそうになりながらも、琴子も英児をじっと見つめてくれる。そんな彼女がそっと英児の頬に優しい手で触れてくれる。
「あんなに愛してくれたから、こんなに素敵な朝なんじゃない。くたくたにしてくれたおかげで、ちょっとの時間でもぐっすりよ。それに……」
甘い声の余韻を残しながら、琴子から英児の唇にチュッとキスをしてくれる。
「今日はずうっと身体の奥に、英児さんが残ってくれそう……。そこがずうっと甘くて気持ちいいままよ」
英児の身体の血がぐわっと沸き立った。この彼女はいつから、いつから、こんなえろくなったんだよ。はあ? 俺のせいか、俺のせい!?
「琴子、俺もだ。俺もだから、もう一回おまえをもらう!」
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