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本気でにテーブルに押し倒して、ブラウスの裾をスカートから抜き出そうとしてしまう。だけれど今回は琴子の止められる、抵抗される。
「やん、だめだってば。だめ。もう仕事に行く時間だもの。また今夜!」
「今夜って、今夜こそおまえは眠った方がいい。だからこれで最後、あとはおまえの残業期間が終わるまで俺ぜっええったいに我慢するからよ」
絶対にだめ! と、琴子が必死に抵抗していた。さすがに英児も今回はそこで退いた。
「ていうか、琴子、おまえさ……、すげえこと言うな。時々、ガツンてくるやつ」
「そう? 私だって英児さんのロケットにいっつもガツンってされてるよ」
ちょっとふて腐れながら、英児が乱した裾を琴子は綺麗に直している。
「英児さん、お願いがあるんだけれど」
もうお仕事モードになってしまった奥さんに諦めをつけて、英児は朝食の席に戻る。
「なんだよ」
「金曜日と土曜日の週末、スカイラインに乗って仕事に行ってもいい?」
彼女が時々望むことだった。
「ああ、いいけどよ。どうした急に」
「気分転換。土曜も休日出勤になってめげそうなの。でもスカイラインに乗っていると英児さんの匂いがいっぱいで嬉しいから。いま疲れているからちょっと一緒にいたいの」
そんなふうにいわれてしまうと、英児もなし崩して、『ああ、それならいいぞ』と微笑んで許可をした。
「ありがとう。久しぶりのスカイライン、楽しみ。お仕事の書類とかちゃんと降ろしておいてね。行ってきます」
「わかった。行ってこいや。無理すんなや」
『はい』と、いつもの奥さんの笑顔になって琴子が出掛けていった。
もう、なんなんだよ。朝から嬉しいことばっかりいいやがって。
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