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「はあ? 趣味とかで喜ぶわけじゃねえよ。まるでその子そのものみたいなのが嬉しいんだよ。いかにも『琴子!』って感じじゃねえかよーー! これ俺大事にするからよ。スカイラインにずっと乗せておくな!」
俺の憧れ女子チョコレート。やっともらえた――と感激していたら、琴子もやっと笑ってくれている。
「ごめんね、私、的を外しちゃっていたみたいで」
「そんなことねえよ。よしタイヤとホイールを履かせたらよ、今夜はスカイラインでどこか行こうぜ」
「ほんと、ドライブに連れて行ってくれるの?」
「明日は休みなんだろ」
「うん」
どこがいいかと聞くと、琴子は迷わずに『長浜』と答える。俺達が恋人になった時の海岸線。
夜の海辺で、ハートの銀缶を開けてチョコレートを一粒。琴子がつまんで、英児に食べさせてくれる。
入り江には冬の月。波間に輝く光の道が、ふたりがいるスカイラインまでのびている。
普段は甘ったるくて『食えるかこんなもの』と思っている英児も、今夜は極上のキスの媚薬にしてしまう。
それからスカイラインの助手席に銀のハートが同乗するように。中にはライターを入れているから、車が跳ねるとカランと音が鳴る。
走り屋の旦那よりかっ飛ばす奥さんがいるから、侮ってはいけない『車屋さんのバレンタイン』。
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【参照】 ワイルドで行こう 本編+続編+番外編 時系列
*続編:ワイルドBerry's 24話 あの日の、潮風ベール
(英児と琴子、漁村で結婚披露宴)
↓
*ワイルド×マイルド小話 『車屋さんバレンタイン』
(結婚後、一ヶ月後ぐらいの二月中旬)
↓
*《Born to Be Wild;ワイルドで行こう》 琴子視点(閑話)
(結婚、半年後。琴子6月の誕生日、フェラーリに乗る)
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※長い続編、ここまでお疲れ様でした。
明日の1話アップで完結です
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