◆ ヤンキー君、いらっしゃい☆

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 長兄の嫁である愛子義姉は、琴子よりだいぶ年上だった。元より英児と長兄の善男は歳が離れているので、琴子とはさらに歳が離れてしまう。既に中学生と高校生のお母さん。もうベテランママさんだった。  でもこの義姉のおかげで、不仲である父親と英児を取り持ってくれてきた。長男の嫁としてのお務めも完璧で、いま滝田家を取り仕切っているのはこのお義姉さん。お舅さんの面倒見もベテランで、きっと滝田家でこのお義姉さんがいなくなるとみんながパニックになるのではないかと琴子は思っている。  もうひとり、次男のお嫁さんもいて、近所に住んでいるとかで長男の嫁、次男の嫁と協力し合っているようだった。その次男のお嫁さんとも琴子は歳が離れている。 「ごめんね、突然。お盆前で忙しいのもあるんだけれど、お父さんの目を盗んで来るのが大変だったのよ」 「なにかあったのですか」  けっこう癇癪持ちである気難しいお義父さんが、慣れているお嫁さんでも怒声を浴びせることは日常茶飯事。他愛もないことで怒り出すとかで、それで英児が嫌って家に寄りつかなくなったという経緯もあるほど。 「別にまだ怒られてはいないけれどね。お盆前は、お父さんと英ちゃんのご対面があるからピリピリするのよ。お盆前にこそこそ会っていたとかばれると、おまえはうちの嫁なんだから家のことだけして、外で迷惑をかけているヤツなんか気にすることない、でかけるな!! ってなるのよ~」 「……そ、そんなこといわれるのですか」
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