◆ ヤンキー君、いらっしゃい☆

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 琴子は絶句した。結婚のご挨拶や結婚式ぐらいでしか会ったことがないため、英児の『クソ親父、気にいらねえ』なんて態度や同居しているお義姉さんからの話を聞くと、やっぱり怖いお舅さんと震え上がってしまう。 「口は悪いけどね。そこは英ちゃんと一緒よ。似てるんだってきっと」 「似てる……ですか?」  うまく重ならない? そんな話を聞きながら、琴子は義姉の愛子にアイスティーを出した。 「これこれ。オレンジの香りがしておいしいの」 「有り難うございます。実家の母がよく作ってくれていたものなんです」 「お母さん、元気? 身体は大丈夫? 一人で寂しいんじゃないかしら。お盆は帰るんでしょう」 「しょっちゅう帰っていますが、他界した父のお参りはしたいので迎え火と送り火はしたいと思っています。そちらにもきちんとご挨拶に行きたいので、よろしくお願いいたします」  お辞儀をすると、義姉がアイスティーを飲みながら『相変わらずねえ』と琴子を見て微笑んでくれる。 「これからは、英ちゃんのことは琴子さんに頼もうとは思っているんだけれど。お義父さんとの橋渡しは一筋縄ではいかないから、私も助けるから安心してね」 「はい。お願いいたします」  お盆の実家へのご挨拶。それは琴子も気にしていた。でも、滝田家に結婚のご挨拶へと訪問した時にはお舅さんも英児も喧嘩にはならなかったから、あんなかんじであればいいなと願っている。 『おかしいな。親父にまたくどくど説教されると思っていたんだれど。なんにもいわれなかったなあ。琴子がいるからか???』
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