◆ ヤンキー君、いらっしゃい☆

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「英ちゃんの頃なんだよね。このクラシックといわれるようになった短ランと、長髪のチーマータイプのヤンキーが登場した頃が重なっているの」 「そんな時期でしたっけ……」  どちらのタイプのヤンキーさんにしても、女学校にいた琴子には縁遠い男の子達。あまり覚えていない。 「そのせいか、タイプが違うから喧嘩や衝突もしょっちゅうでね。男の意地の張り合いでしょう。しかも粋がってばかりの男の子でしょう。学校から呼ばれるなんてこともたまにあったみたいだけれど、お友達を守るために意地を張ることが多かったみたいね」  いつもリーダーだったみたいよ――と、彼の少年時代を知っているお義姉さんが、ちょっと懐かしそうに教えてくれる。 「それで。これが私のお気に入りなの」  そういって愛子が再度、琴子に差し出した写真を見て、琴子はまたハッとする。  今度は短髪で金髪。でも目は粋がっているガンとばし。それでももう学生服ではなく、作業服姿だった。 「ねえ、この英ちゃん。けっこういけてるでしょう。あの頃は『けしからん、ふざけた姿』とおじさん達が怒っただろうけれど、いまならこういうイケメンいっぱいいるじゃない」 「そうですね……、芸能人やサッカー選手にも多いですし……」  でも琴子はもう上の空。だって、だって。愛子お義姉さんがいうとおりに、すんごいクールな男前なんだもの! しかも若いの!  どういうわけか、琴子の胸がドキドキしちゃっている。つまり、夫の若い時の姿にときめいちゃったということ。 「でもね。この頭にした時、一悶着あったのよ」  愛子がまた昔を思い出すように、海が見える窓辺へと遠く視線を馳せる。でも、どこか幸せそうな眼差し。
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