◆ ヤンキー君、いらっしゃい☆

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「私が滝田にお嫁入りする頃にこの頭になってね。もうすぐ結婚式だっていうのにこの頭になったから、また滝田のお父さんがものすごく怒ってね……。英ちゃん、この頃はまだ高校を卒業したばかりだったから、お父さんに怒られるとすぐへそを曲げて意地張って、もう私の目の前で大喧嘩になってね……」  さらに愛子が写真をもう一枚。 「でもね、みてこれ」  今度の写真を見て、琴子はまたどきんと胸が高鳴る。  その写真には、短い髪を黒く染め、フォーマルなスーツをきちんと着こなしている若い英児が映っていた。  な、なんなの。そのギャップ。きちんとノーブルに整えた英児は、爽やかな好青年風に変身している。 「姉ちゃん、安心しろよ。俺、ちゃんとするから――って言ってくれていたんだよね。ほんとうに結婚式当日にはこうして来てくれたの。なんだとっても素敵な男の子になれるじゃない――と思ったんだけれど、金髪の粋がっている英ちゃんもかわいかったんだよねー」  その結婚式にきちんとした姿で現たものの、父親とは険悪そうだったので、英児の隣には母親に座ってもらい二人が喧嘩しないよう抑えてもらっていたらしい。 「そんな英ちゃんをわかっていたからね。だから、お義母さんからも頼まれていたのもあるんだけれど。お父さんと仲良くして欲しいと思っていたんだ。でも、だんだんわかってきたんだよね。似たもの同士で、ただの意地の張り合いで、とことん不仲で憎みあっているわけでもない。ほんとただの意地なのよ。それがわかったら『はいはい、喧嘩すればよし』と思えるようになったわけ」
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