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すごい、さすが長兄のお嫁さん。琴子は妻になったとはいえ、まだ英児とは出会って年月も経っていないため、逆にお義姉さんのそんな気持ちに苦労に尊敬をしてしまう。
「愛子お姉さん、ずうっとそうして英児さんとお義父さんをお母さんの代わりに見守ってきてくれたのですね」
「でも、それももう琴子さんにバトンタッチね。あ、もちろん助けるから。特にお義父さんの方は、一緒に暮らしてきた私に任せて」
英児君の方はよろしくね――と、お姉さんに言われ、琴子もお嫁さん同士家族だからと任せてもらえることに『はい』と笑顔で応える。
「それもお盆前に言いたくてね。琴子さん、結婚して初めての滝田でのお盆でしょう。また父子喧嘩を目の当たりにしてびっくりしないように言っておこうと思って。またお父さんにどこに出掛けていた英児のところかと言われる前に帰るね」
「もう、ですか。英児さんが来るまでゆっくりしていってください」
「ほんとに。琴子さんにそれを言いたかっただけなの。今日は土曜日だからいるだろうと思ってきただけ。あ、それと。その英ちゃんの荷物ね。これからもなにか見つかったら持ってくるね!」
頼もしそうなお義姉さんはそこで潔くあっさり帰ってしまった。
琴子も下の店舗まで、愛子を見送りに降りた。
車に乗り込むところで見送っていると、ピットから英児が慌ててとんできた。
「姉ちゃん、あとちょっとだから待っていてくれたらいいのに。なんだよ。もう帰るのかよ」
「用事は済んだから。琴子さんに頼んであるよ。じゃあね、お盆に帰ってくるのを待っているからね」
「……うん、わかった。行くからよ、よろしくな」
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