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まさか。あんなに嫉妬するなんて思わなかった。
だって。あれって英児さん自身だよ? なのに昔の自分を気に入った奥さんを見て、あんなになるなんて……。
土曜日の英児の本気が凄すぎた。
俺と悪ガキの俺、どっちがいいんだよ――とあんなに何度も責められるとは思わなかった。
月曜日になっても、琴子は身体にきしみを感じる。
仕事の帰り、今日も銀色のフェアレディZに乗って、帰宅。
助手席には買い物袋、今夜の夕食の食材。そして、お盆の準備を少しずつ。
ガレージに車を駐車して、エンジンを切る。
「なに着ていこうかな。英児さんの実家に行くのに」
そんなことを呟きながら、買い物袋片手に運転席を降りる。
「琴子ーーー!」
ガレージの入り口に慌てたように駆け込んできたのは、矢野専務。琴子はギョッとする。いつも、帰ってきた琴子を優しくお出迎えしてくれるのは夫の英児なのに。そんな新婚さんを気遣って、矢野さんも武智さんもそっとしてくれているのに?
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