◆ ヤンキー君、いらっしゃい☆

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 お父さんと英児が野菜をいっぱいつんでくれた。琴子もトマトをいっしょにもいだ。 「いけね。姉ちゃんが早く家に帰ってこいと言っていたんだ」 「そろそろ帰ろうわい」  お父さんが収穫した野菜をカゴにいれて持ち上げようとしたが。 「俺が」  英児が父親からそのカゴを引き取ってしまう。そうして身体が大きくなった息子が代わりに運ぶ。  喧嘩をしそうな空気がなくなっていた。どうしてなのかな。琴子も覚悟をしていたのに不思議だった。  そんな父子のあとを琴子もついて、滝田家に戻る。 「おまえ、店はだいじょうぶなんか」 「なんとかやってるよ」 「また車をぶっ飛ばして事故なんかするな。もうおまえだけのもんじゃないんやけん。琴子さんを心配させんなや」 「わかっとるっちゅーのに」 「はあ、…… あのな、」 「はあ? なんだよ。せっかく帰ってきたのによお」  ああ、なるほど。こういう親心から説教が始まって、子供が煙たがって。どちらもいい大人だから余計に大喧嘩になるのかもと、琴子も見た気がした。 「お父さん、今度、遊びに来てくださいね。私、土日がお休みなので、一緒にご飯を食べていただきたいです」  琴子の声に、前を歩いていた二人が振り返る。  真夏の灼熱の中、汗を流している男が振り向いた顔がびっくりした顔が一緒で、琴子はさらに微笑ましくてにっこりしてしまう。 「ほうかね、琴子さん、ええんかね」 「もちろんです。お父さんのお野菜を調理したいです。おいしい食べ方、教えてください。ね、英児さん」 「お、おう。そうだな。うん、来いよ」  息子のその言葉にも、お父さんが驚いた顔をしている。 「ほなら、今度、行こうわい」
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