好きな子のためなら何でもできる!なんて事はないんだよ(プールサイド③)

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 僕は中高時代の上履きにした細工のことを話した。  こんな一方通行な行為、迷惑だったよね。僕の独りよがりだったよね。 「言ってくれなきゃ、わかんないよ」 「ごめん」 「あっ、じゃあこの靴」 「あの、僕、裕奈ちゃんの足何とかしたくて、それで調べたら義肢装具士(ぎしそうぐし)って資格見つけたんだ。外反母趾の人も歩きやすくなる靴とか作れるんだ」  席にはあらかじめ頼んでおいたコース料理が運ばれてきている。 「まる子ちゃんに頼んで、裕奈ちゃんの足の型を取ってもらって、大学の先生に手伝ってもらいながら作ったんだ」  もう一度、  もう一度だけ、  はっきりとちゃんと伝えよう 「あの、僕、裕奈ちゃんの事、五年生の時からずっと好きです」 「五年生の時にちゃんとしとけ〜」  裕奈ちゃんが、大声で叫んだ。反射的に僕は謝ってしまった。 「謝んな。ほら、せっかくだから料理食べよう」  えっ。怒ってないはずないよね。そう思って、改めて見た裕奈ちゃんの表情は、どこかスッキリしているように見える。 「うん、そうだね」  食事中の会話は弾んでいたとは言えないが、僕はすごく楽しかった。裕奈ちゃんも笑顔を見せてくれていた。 「靴、どうかな?痛みとかどうかな」 「痛く……ないかな」 「良かった。その靴、プレゼントさせてもらえないかな」 「くれるの?」 「うん。裕奈ちゃんのために作った裕奈ちゃんだけの靴だから」 「よし、じゃあこの靴で五年生の時の事はチャラにしてあげよう」  笑顔を見せてくれた裕奈ちゃん。本当に可愛い。やっぱり僕は裕奈ちゃんが大好きだ。 「もう一回言うね。裕奈ちゃん、僕はずっと君の事が好きなんだ。付き合ってもらえないかな」 「友達からね」
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