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僕は中高時代の上履きにした細工のことを話した。
こんな一方通行な行為、迷惑だったよね。僕の独りよがりだったよね。
「言ってくれなきゃ、わかんないよ」
「ごめん」
「あっ、じゃあこの靴」
「あの、僕、裕奈ちゃんの足何とかしたくて、それで調べたら義肢装具士って資格見つけたんだ。外反母趾の人も歩きやすくなる靴とか作れるんだ」
席にはあらかじめ頼んでおいたコース料理が運ばれてきている。
「まる子ちゃんに頼んで、裕奈ちゃんの足の型を取ってもらって、大学の先生に手伝ってもらいながら作ったんだ」
もう一度、
もう一度だけ、
はっきりとちゃんと伝えよう
「あの、僕、裕奈ちゃんの事、五年生の時からずっと好きです」
「五年生の時にちゃんとしとけ〜」
裕奈ちゃんが、大声で叫んだ。反射的に僕は謝ってしまった。
「謝んな。ほら、せっかくだから料理食べよう」
えっ。怒ってないはずないよね。そう思って、改めて見た裕奈ちゃんの表情は、どこかスッキリしているように見える。
「うん、そうだね」
食事中の会話は弾んでいたとは言えないが、僕はすごく楽しかった。裕奈ちゃんも笑顔を見せてくれていた。
「靴、どうかな?痛みとかどうかな」
「痛く……ないかな」
「良かった。その靴、プレゼントさせてもらえないかな」
「くれるの?」
「うん。裕奈ちゃんのために作った裕奈ちゃんだけの靴だから」
「よし、じゃあこの靴で五年生の時の事はチャラにしてあげよう」
笑顔を見せてくれた裕奈ちゃん。本当に可愛い。やっぱり僕は裕奈ちゃんが大好きだ。
「もう一回言うね。裕奈ちゃん、僕はずっと君の事が好きなんだ。付き合ってもらえないかな」
「友達からね」
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