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最期の時に
私の大切な人が亡くなった。
あの人の家族の要望で、私が管理する教会であの人の葬儀を行うことになった。
私は神父として冷たいあの人の指を組ませ、なんの憂いもなく天へと導かれるよう祈りをあげる。教会での儀式の後、あの人が収められた棺を墓地へと運び出し墓石の下へと埋める。
完全に土を被せた後また祈りをあげ、葬儀が終わった後に、呆然としながら教会にある自室へと戻った。
いつかこの日が来るのはわかっていた。これは避けられない事なのだから。あの人との思い出が頭の中を巡っていく。記憶の中のあの人はいつも輝かしくて、確かに憧れだったのだと自覚した。
大切な人を喪って悲しいけれども、せめて最期見送ることができて良かった。
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