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「清一郎が大好きだ。あの時も、これから先もずっと大好きだ。それはずっと変わらない。お前とまた出会えて、こうして一緒にいれることが出来て、俺は幸せだよ。俺がずっとお前を想っていたこと、忘れないでくれ」
真っ直ぐに目を見つめながら言うと、清一郎は恥ずかしそうに視線をそらし、一瞬口元を緩め、すぐに引き結んだ。
ふと、ちょっとした悪戯心のようなものが湧いて、俺は「清一郎」と真剣な声音で呼ぶ。こうしたら目を見つめ返すと知っているから。
予想通り見つめ返してきた清一郎の目を見つめ、俺は心の底からの愛を言葉に乗せるように口を開く。
「愛してる」
あの頃抱いた恋が、今これほどの愛おしさに変わっているのだと伝わればいい。どうしたって離せないほど、愛していると伝われば。
「……恥ずかしい奴」
清一郎は心底幸せそうに笑ってくれるから。
「俺は愛情表現を惜しまないんだ」
「今も昔もそういう奴だって知ってるよ。夏より暑い」
「それは褒めてるのか?貶しているのか?」
「褒めてるんだよ」
俺達はあの頃から変わった。かつての友だった清一郎と俺の薬指には、揃いの指輪が輝いている。
「……秀明」
「ん?」
「僕も、同じ気持ちだから」
「ああ。知ってるよ」
これからも、この先も、お前の声が聞こえる距離でこの想いを届けよう。すれ違うことのないように。
「手紙の代わりに毎日言うよ」
「僕は一年に数回くらい言うよ」
「そこは毎日だろう!」
愛してるをこれから先も、何度でも。
いとしい君へ。
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