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「……お前は何してたら脈ありだって思うわけ?」
「え?ん〜……そだなあ」
豊は少し考える素振りをしながら、人差し指を上に向けくるくると回す。
「たとえばだけど……俺があの服いいなって言うとこっそり買って着てるとか」
「主体性がないな」
「俺が頼んだらどんな時間でもくだらない話でも付き合ってくれるとか」
「よっぽど暇なんだな」
「あーとはそうだな……俺の好きな物だからって無理して好きになろうとする……とか?脈あるだろ。絶対に」
そう言った豊の顔は少しあくどい顔をしているように見えたが、一瞬でいつもの緩んだ笑顔に戻る。
想志は自分で聞いておきながら、完全に不貞腐れたように「あっそ。おめでたいな」と悪態をつく。
「なんで不機嫌になんだよぉ」
「べっつに。で?話は終わりか?帰るけど」
「待った待った。話はまだ続きがあるから」
そのゆるゆるの顔でもうオチまでだいたい想像がつく。そもそもそうじゃなければこんなに具体的に出てくるわけないのだから。
眉間にシワが寄っていくのを感じながら、想志は隠すようにコーヒーカップに口をつけ、飲むフリをする。
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