友達の話なんだけど

友達の話

「友達は俺の話聞いて、脈があるって思ってさ。告白したんだよ」
「へー」
「そしたらなんて言われたと思う？」
「ぜひ喜んで恋人になります！……とか言われたんだろ」
「ぶはっ！なんだよその投げやりな答え。ハズレハズレ」
「じゃあなんて言われたんだよ」
「“ごめんなさい、あなたのことは友達としか見れないの”」
「え」
「だぁってさ！ははっ、もぉ〜あいつすっげえ自信満々で俺に“絶対に俺のこと好きじゃん！”って言ったのに勢い良く振られちゃったからもう同情するべきか、笑い飛ばしてやるべきか悩んだよ」
「え、え？」
「ん、どしたよ？」
「え、だってここまでの話って」
　――お前の話じゃなかったの？
　震える声で想志が聞くと、豊はぱちくりと目を瞬かせた後、「あははっ」と吹き出した。
「なんでだよ！友達の話だって言ったろ！」
「えっ、あ、いやそうだけど」
　そうだ。友達の話だと最初に言っていた。勝手に勘違いしたのは想志の方だ。
　それに気づくとぶわりと顔が赤くなる気がした。