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「あ、さては“友達の話”って言ったから、漫画とかでよくあるみたいに俺が自分の話を代弁させてるって思ったんだろ。馬鹿だなぁ。現実にそんな場面来ねえよ」
「ぐっ……」
「それに、俺は脈あるって気付ける男だし」
「うざい」
ニコニコと揶揄う豊の視線を避けるようにうつむくと、ふっとコーヒーカップに触れていた想志の手に豊の手が重なる。
「なに」
「さっきも言ったけど、俺は脈ありの奴のことは気付ける男なんだよ」
「だから?」
「だから飲めもしないのに、俺が好きなものだからってコーヒーいつも頼んじゃうようなそんないじらしい奴のこと、気づかないわけないんだよ」
「は」
じゅわっと一気に、顔が赤くなるのが分かった。
今まで隠し続けていたものが実は隠せてもいなかったとネタバラシされたような、服を着ているつもりがずっと裸だったと指をさされるような、そんな羞恥心がぐわりと想志を襲った。
思わず逃げるように体を引いた想志を、逃さないと豊の手に力がこもる。
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