いとしい君へ

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 真っ赤な顔で怒鳴る清一郎は、可愛らしいだけでちっとも怖くはなかった。むしろからかってやりたくなるばかりで、必死に真面目な顔を取り繕う。 「本当に嬉しかったよ。あの頃から、お前が俺を好きでいてくれて。俺達あの頃からやっぱり両思……」 「言うな!何も言うな!もう……芋づる式にあの頃の記憶を思い出させるな!」 「俺達、あれから色々あったもんな」 「うるさい……。ああ……過去の自分が憎らしい……」 「過去の清一郎のおかげで今こうしてまた愛を確かめられてるんだからいいじゃん?」  未だに恥ずかしがって俯いたままの清一郎の手を握り直してみると、じっとりと恨みがましいような目で一度睨まれたあと、諦めたようなため息が聞こえた。 「大馬鹿者め」  そう言って握り返す力は多少怒っているような力加減だったけれど、それでも彼は笑っているからいいだろう。 「清一郎」 「なんだ」 「今、あの手紙の返事していいか?」 「……嫌だと言っても言うんだろ。秀明は」  ふっと笑みをこぼし、清一郎は俺の顔を見てそう言った。それに答えるように、俺は清一郎の顔を正面から見るように座り直し、清一郎の手を指を絡め繋ぎ直す。 
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