泣かないで

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「お前だけだよ」  その言葉が好きだ。俺はお前だけの居場所であり続けることができるから。  ぐすぐすと鼻を鳴らしながら、未だに泣き続ける広臣をあやすように抱き寄せる。これもまたお決まりだった。  いつからか、広臣が泣き止むのはこうして抱きしめるときになったのだ。 「お前が親友で良かったよ」 「はいはい」 「本心だぞ〜!ほんっと、他のクズどもよりお前の方がいいわ」  そう言いながらすぐに他の恋人作るくせに。  小さなトゲは出さないように飲み込んで、俺は少しだけ強く広臣を抱きしめた。  “親友”の立場を利用しているのは俺なのだから。  大好きな親友とずっと一緒にいるために、些細な恋なんて告げなくったっていい。 「泣かないで」  俺がずっと側にいてあげるから。
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