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せっかくのステーキ
「頂きます」
美味しそうなお肉。
ハナコさんは、やや、脂身があるステーキが大好き。
「ん~、美味しい…ぜいたく~」
「ほらハナコ。あなた、胃腸が弱いんだから、あんまり食べ過ぎないでね」
わかってますって。
母親の注意を聞き流し、ハナコさんは、久しぶりに、贅沢な夕食を堪能する。
「あー、美味しかった。そういえば買ってあったケーキがあるよね?」
「まだ食べるの?全く…後で胃が痛くなっても知らないわよ」
いいからいいから、と笑って、これまた美味しそうなショートケーキを口に入れ始める。
で、結局。
「…痛い」
ソファーに横になり、胃腸を押さえて丸くなる娘に、母親は、あきれ顔。
「ほら。胃薬飲みなさい。全く、何度同じことを繰り返すのかしらね」
「うう…」
ハナコさんは、いつもの胃薬を飲み、悲しくなる。
"ごめんなさいハナコさん"
僕も悲しくなる。
"弱い胃でごめんなさい"
ハナコさんは、大好きなステーキも、ケーキも、満足に食べられないのです。
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