バス停の彼

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ピトン…ポチャ… 雨が降ってきた。 カーテン越しに聞こえる雨の音。 雨が降ると頭痛に悩まされる。 だから、雨は嫌いだった。 頭痛は気象病というらしい。 みさはズキンズキンと鈍く痛むこめかみを押さえながら、ベッドからやっと体を起こした。 みさ「いってきまーす」勢いよくバサッと傘を開いた。 母「いってらっしゃい!冬は夜遅くなるのが早いんだから、寄り道せず帰りなさいよ。」 みさ「わかってるよー!」 吐く息が白い。 ガチャン!!! カギが閉まったのを確認し、みさは足早にバス停に急いだ。 あの人に会えるかな? あ!いたっ! 今日もあの人は、やっぱり格好いい。 180cmの長身、スラッとした手足。 切れ長の奥二重に、高い鼻、まるで涼しげに微笑んでいるような口角の上がった薄い唇。 みさは女子校へ通学するために毎日バス停を使っている。 そのバス停で彼を一目見て以来、私は彼に夢中になった。いわゆる一目惚れってやつだ。 彼は天気の悪い時だけバス停を利用しているらしかった。 雨の日は、彼に会える。 それだけの理由で、みさは雨が好きになった。
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