おさななじみと小麦色

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「──!!」  そこで、目が覚めた。  心臓が痛い。うるさい。はっ、はっ、と息が上がっている。 「ゆ、め……?」  俺は頭を抱えた。なんっ……て夢見てるんだ、は、恥ずかしい……。顔に血の気がのぼるのを感じて、顔を両手で覆った。 「辰巳……ごめん……」  冷静になれば、そりゃあ夢だよな、と納得してしまう。  だって辰巳は、本当に小さな頃、おむつも取れない頃から一緒に育った、兄弟みたいなもので。おさななじみである彼に恋をしていると気がついてからも、俺は墓場まで持ち帰る恋だと思っていて。それを、あの融通の効かないほどの生真面目な辰巳が、自ら告白してきて……なんて、出来すぎている。  俺は深呼吸して、心臓と上擦る呼吸をなだめた。  両頬を、ぎゅっとつねる。 「……よし!」  布団を抜け出てカレンダーをめくる。  九月一日。今日から俺は、二回目の新生活を始めるのだ。
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