悪しきもの

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 起き上がってみようと試みるも、さすがにそれは無理だった。下半身の痛みと頭がくらくらと眩暈を起こすことで、私は情けなくベッドに寝そべることしかできなかった。  どうしてソウスケが側にいないのだろう。力をだいぶ使ったはずだし、私の近くから離れては陽の気も移らないのに。  今どこにいるの? 何してるの? 先に家に帰っているならいいけれど。  胸に不安が渦巻く。得体の知れないモヤがどんどん広がっていく。消えない、と断言したんだから、大丈夫。ソウスケは、大丈夫のはずだから。  そう何度も自分に言い聞かせるも、私の気持ちはまるで晴れることはなかった。  数日間あの爆発事故でニュースは賑わい、その話題で世間は持ちきりだった。  ガス爆発であるとのことだが、未だ原因は詳しく解明されておらず警察たちが慌ただしく働いていた。  かなり大規模な事故であり、重症者も多く出たが、奇跡的に死人は出なかった。その幸運をみんな口を揃えて奇跡だ、よかったと賞賛した。  私だけが、その奇跡の理由を知っている。    ソウスケは一度も私の見舞いには訪れなかった。
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