悪しきもの

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「ソウスケ? ここにいるの? ねえ!」  涙声に変わっていく。こうしてることで、陽の気って移るかな? 移ればまたソウスケ元に戻れるのかな?  どうして。涙が溢れ出てくる。どうしていつも後になってから後悔するんだろう。  いつも一緒にいたのに何もソウスケのことを知らなくて、彼は私を何度も助けてくれたのに私は全然力になれない。  もっとたくさんキスしてればこんなことにはならなかったんじゃないのか。 「そ、そうだ……祈りは力になるって言ってた、私のはもう無意味なんだよね……事情は伝えずに、あやめとか、春奈にきてもらうかな」  回らない頭をなんとか回転させて捻り出す。  純粋無垢な気持ちの祈りは力になるって聞いた。そうだ、色んな人に祈ってもらおう。この祠、もう少し綺麗にしたらご利益ありそうに見えないかな? 装飾とかしたら、もっとみんなソウスケに……  ぐるぐると頭の中で色んな考えが巡り混乱しつつも、私はとりあえず春奈とあやめに来てもらおうとポケットにある携帯を取り出した。
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