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彼はじっと黙ったままこちらを見ている。そしてほんの小さく首を振った。
「祈りを捧げても、あなたが抱きついても、彼はもう戻りません」
一気に頭が冷えた。いや、わかっていた。こんな人間離れしたビジュアルの人を前にして、絶対生きてる人間じゃあないってこと。
ソウスケと同じ、神様なんだってこと。
私は慌てて白髪の彼に近寄る。
「ど、どういうことですか! ソウスケ、力を使いすぎちゃったんですよね!?」
戸惑う私を尻目に、彼は無言でこちらを見ていた。どこか優しさや慈悲を感じる眼差しに思う。
「あ、あなたはソウスケと同じ神様……なんですよね?」
背の高い彼を見上げて問いかける。優しく微笑んで答えた。
「ええ、彼の言葉を借りるならば……私は専務、ぐらいですかね」
「え!」
いつだったかソウスケがふざけて言っていた例えをなぜ知っているのだろう、いやでも今はそんなことどうでもいい。ソウスケはアルバイト、この人は専務だとしたら、神界の中でもかなりの権力者であるということだ。
私は一度深々と頭を下げてから、さらにたずねた。
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