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消えないって言ったくせに。嘘だった、ソウスケはきっとわかってたはずだ。私を助けたら自分が消えてしまうってことくらい。
嘘ついてたんだ。
どうしてそこまでして人を想えるのだろう。
目の前の白い人はそっと私の頬の涙を払った。見上げると、やはりあまりの神々しさに息を呑んでしまうほど人間離れした人だった。
彼は少し悲しそうに目を伏せて言う。
「いいですか。神は、力を使い切ったからといって消滅するわけではありません」
「え……」
「本来、力を使って空っぽになってしまうと、祠に再び眠ります。少し長い時間ですが、休息をとるようなものです」
「じゃあ……」
「今回彼が戻ってこれない理由は他にあるんです」
「なん、なんですか? どうしてソウスケは……!」
私の質問に、彼は一つ長い息を吐いて答えた。
「彼は禁忌を犯しましたから」
頭が真っ白になり、思考が止まる。
「……え……?」
「彼は禁忌を犯した。あなたは、この意味がお分かりですね?」
言い聞かせるように、彼はゆっくりとそう言った。
「禁忌? って、……え?」
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