幸と不の女神

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 そこでついたあだ名が先程のあれだ。  ちなみに先日は青信号を渡っていたところを居眠り運転の車が突っ込んできた。逃げようもない速さだったのだが、どうなったのか私は無傷で目が覚めた。警察の人が信じられない、と目を丸くするほど。  自分が無傷なのはとてもありがたい。でも事故に巻き込まれるのは嫌だ。私の悩みは尽きない。 「まあ、沙希が無事ならよかったけど」 「あやめちゃん大好き」 「気をつけなよ」 「気をつけてるんですけど……」  最後に残しておいた苺を頬張る。あやめが思い出したように聞いた。 「高校からなんだっけその体質」 「あ、うんそう……。それまではそんな事一切なかったんだけど、一度海で溺れて死にかけた事があって。奇跡的に生き返ったんだけど、それからこんなことに」  高校の頃なので、もう5.6年前になるか。友達と海に遊びに行って溺れた。助けられたもののしばらく生死を彷徨い、なんとかこちらの世界に戻ってこれた。  そのあとからなのだ。異様に事故に遭うようになったのは。 「あれかな、三途の川で何かを連れてきたのかね」 「それよく言われる……」 「お祓いしてもらいなよ」 「もう12回してる」 「あらま」  なぜかあやめは爆笑していた。この私の体質に酷く興味があるようなのだ。ほんと、変わった人だ。  今の会社に入ってすぐ仲良くなった子だ。まだ付き合いは浅いが、今までのどの友達より一緒にいて気が楽な相手と言える。  あやめがカフェモカを飲み干したところで、腕時計を眺める。 「あ、ごめんもう行かないと」
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