幸と不の女神

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「うんこっちこそ急に呼び出してごめんね。彼氏と約束だったんでしょ?」 「すぐそこだから。いい時間潰しになったよ、またね〜!」  あやめはそう笑い立ち上がる。私に軽く手を振り、その場から離れる。  彼氏かあ。いいなぁ。  ふうとため息をつく。  この体質のせいにするつもりはないが男なんて寄ってこず彼氏はできた事がない。もういい大人なのに。  彼氏欲しい、ときめきが欲しい、平穏な日常が欲しい。  今日何度目か分からないため息をついたところで私も立ち上がった。隣に置いてあった鞄を手に持ち、店から出る。  外は気持ちよく晴れていた。雲一つない快晴だ。そろそろ夏に入る季節の日差しは私の気分とは裏腹な暖かさ。  ノロノロと足を進めながら、自宅へと向かう。  自分がこんな体質である事は無論両親を心配させた。彼らは就職などせず、基本家にいた方がいいと私を説得した。次は命がないのかもしれないのだぞ、と。  断固拒否。こんな不運に人生狂わされてたまるか。私は就職して一人暮らしして彼氏作って結婚だってするつもりなのだ。  有名な寺などを連れまわされ効果が出ずに今に至る。気休めのお札は家にいくらかあるし、持ち歩いてるお守りもそこそこかさむ。これ、持ちすぎじゃないかしら。神様同士で喧嘩したりして。  そんなことを考えながらアパートを目指し住宅街に入る。一気に人通りがなくなり静かになった。
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