第一章・―布団―

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「あ、ああ。あああああああ。ああああああああああああああああああああああああああああ……!」  あらあら。お隣の奥さん、とうとう気でもふれたのかしら?  少しだけ気になって、中庭から覗いてみると、どうやら、邪魔なゴミが増えてしまっただけだった。  あーあ。無駄に邪魔なゴミを片付けようとして、もう一つ要らないゴミを増やしてしまったみたい。  どうしようかなぁ。後始末、面倒だわぁ。  取り敢えずぺちゃんこになった布団は捨てましょう。もう必要ないから。  そして新しく、前から欲しかったシングルベッドとシーツを買いましょうか。  どうしましょ。今からわくわく。ずっとしたかったコーディネートがあるのよね。  ざわざわ。ざわざわ。  黒い蟲が蠢いて、ゴミがびくりと震えた気がしたけれど、それは気のせい、幻覚よ?  せいぜいあんたら、二人永遠にそこで蠢いていなさいな。  とってもスッキリ。  そして私はにっこり笑顔。  お前ら二人、覚えておいて。  私を怒らせると、全員こうなる事をーー。
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