第一章・―布団―

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 だけどあまり良いのはやっていなかったみたい。舌打ちしてテレビの電源をOFFにすると、しばらく無言で真っ黒になった画面だけを見詰めていた。 「テレビ、面白くなかったの?」  一応、機嫌をこれ以上損ねないために、分かり切った事を聞いてあげる。  面倒臭い事この上ないけど、八つ当たりされるよりは、まだましだから。 「うぅん。何かなぁ。あまり」  私の問いに伸びをしながら返してくれる。 「そう。残念ね」  まぁ、どうでも良いけど。 「平日に休みだと、たまにこうした日はあるよな。何か退屈だわ」  テーブルに散らばった雑誌の類いをまとめて古紙回収袋に詰め込みながら、退屈だと言っている夫は気もそぞろだ。 「じゃあ、DVDでも観たら?」 「うぅん。それもなぁ。まだ観てないやつあったかな?」  確かハマっている海外ドラマがあった筈だけど、以前ならば家で続きを観るのを楽しみにしていたのに、今はあまりその声が耳に入ってこない。  やはり隣で奥さんと一緒に観ているのだろうか。  そう考えると、馬鹿らしくて滑稽だと知りつつも長く深いため息を吐いてしまう。
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