2.受験から高校卒業

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家へ帰る電車の中では昨夜の事を思い出していた。(そうだ)と兄にLINEを送る。「やっほー、慶太さんに告白された。入学前に北海道旅行に行ってくる」と送信した。するとすぐに既読になり「<おめでとう>のスタンプとお土産よろしく。本当によかったな(涙)」と返信がきた。こんな内容のやり取りが出来る兄弟の関係でよかった。と拓海は思った。 家に帰り「ただいま」とリビングに入って行くと、母が「おかえり、ごはん食べる?」と聞きながら「慶太さんと食べてくると思ってた」と言ってきた。でもちゃんと拓海のご飯は用意してあった。 食事をしながら「でも良かった。慶太さんと同じ大学に合格して」母が「そうね。でも本当にいい人に教えてもらえてよかったわ。塾にも行ってなかったし。突然家庭教師を見つけて来た時はびっくりしたわよ」 拓海は照れ笑いをしながら「そういえば慶太さんに卒業式が終わったら北海道に行こうか?って誘われたけど行ってもいい?」と父と母に聞いた。 「受験がんばったものね。いいわよ。旅費いくらくらいか決まってるの?」と聞かれたが「まだ何も決まってない、親のOKが出ないとダメって言われたから」「本当にしっかりした人ね慶太さんって」と益々母のポイントが上がった。「慶太さんの会社で頼めば社員割引で少し安くなるみたい」「そうね、旅行会社だものね。お母さんたちも今後旅行に行くときは慶太さんにお願いしようかしら?」と予定がないのに今から嬉しそうだ。 「旅費はあるの?」と母が聞いて来る。(あるわけないじゃん、バイトなんかもしてないんだから・・・)「ないから、お父さんとお母さんにおねだりしようかなーと・・・」「何よその言い方は、お願いします。でしょ」「すみません、大学に入ったらバイトをして生活費は自分でも稼ぐので今回は出してください。」と普段親に対して使わない敬語でわざとらしくお願いをした。すると父が「慶太さんにも合格させてもらったお礼もしたいから旅費は2人分出してやるよ」と太っ腹だ。すると母も「そうよね、毎月の月謝も受け取らなそうだから、とりあえず1万円だけはなんとか受け取って貰ったけど、拓海の教材もどうやらそこから出してくれてたみたいだしね」と、慶太の旅費も両親は出してくれそうだ。 自分の部屋に戻った拓海はPCを開け、ネットで北海道のホテルや見どころや食べ物を探してみた。札幌や函館など、定番な場所を見てみるが北海道に行ったことがない拓海は何を見ても新鮮だった。いくつかのホテルのの客室の写真を見ているとある事に気づいた。(もしかして慶太はここで・・・)と。 男同士のそれの経験がない<女性経験もないが>慶太はネットでいくつかのページを見てショックを受けた。(うそ、ここにあれを・・・?慶太はこれを期待してるのかな?でもどっちがどっちだ?)と急に心配になってきた。
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