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「龍の鳴かぬ龍鳴寺など名ばかりだて」
和尚は小僧をじっと見ると、
「これ、天井に登れ」
小僧は梯子を持ってきて、隅の板を一枚外すと渋々天井に登ります。
「さあ、鳴け」と、和尚がパンと手を叩きますと、
「わ・・・わぉ〜ん」
和尚は首を傾げて、
「蓋し打てば響くが如く、侘び寂びの風情ならば、もそっと哀しげに」
パンッ!
「うぉ〜ん?」
「おお、その調子だ」
パンッ!
「うぉ〜〜〜ん」
「これやこれ、なかなか筋がよい」
パンッ!
「・・・」
パンッ!
「・・・」
「どうした?怠けるでない」
隅の穴から、小僧が顔を出して、
「和尚さま、天井裏に大きな甕がありまする」
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