私と周りについて

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私と周りについて

彼と私はお見合いで知り合った。 父の会社の将来有望な青年だと、父から一推しされてのお見合いで、多分お相手も上司からの話にお断り出来ずに会うだけと引き受けたのだろうからと、その席でこっそりとどちらからお断りするか聞けば良いと考えていた。 母は私が小学校六年の時に長い闘病生活を終えて天に召された。 それまでも母は入退院を繰り返していたので、六歳上の兄と二人で忙しい父の留守を守り、母を労りながら家の事をしていた。 だから兄とは仲が良かったし、兄からの愛情はシスコンか!と言いたくなるほどの物があったが有り難かった。 その兄が就職、結婚をして家を出て家族で海外赴任になり、特に頭も良くなかった私は高校卒業後、自宅近くの会社に運良く就職して小さな会社だけどアットホームな中、可愛がられて楽しく働いていた。 父は失望させてしまったと思うが、大学に行く目的もないまま中途半端な学力で行くよりは早く働いて一人前になりたかったから反対を聞かずに押し切った。 兄の後押しも大きかったと思う。 父と二人の生活は寂しい物で、相変わらず仕事人間の父とはすれ違いの生活で、まだ二十歳にもなっていないのに父からお見合いの話をされ急にどうしてと思ったが、父の弟である叔父に話を聞いて分かった。 父も既にお見合いをしていて双方気に入った様で話を進めようとしていて、結婚後、私がいるのが邪魔な様でした。 父のお相手は一度、結婚に失敗されているものの子供もいなくて父より十歳も若い方で、私は父が33歳の時の子供で、父は現在52歳、母を亡くしてから7年が経ち、父の会社の社長からの紹介でお断りも出来なかった様でした。 断るつもりで会うとこれが意気投合した様で、42歳とは思えない相手の美しさ若々しさに父はメロメロになった様でした。 デートだと思われる日にとても機嫌良く帰宅する様子でそれはすぐに気が付きました。 新しい母が家に来る…と考えると少し気は重かったですが、父が幸せになるなら、老後を一人で、というのも寂しいですし賛成をしました。 反対をする様な歳でもありませんでしたし、落ち着いたら一人暮らしをすれば良い、お付き合いを始めた父から結婚すると聞いたらアパートを探そう、などと呑気に考えていたら父からお見合いの話をされたのでした。
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