運命ってひょんな事

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「梛さんのお宅に行けば会える?俺、いや、僕、日曜日に神戸に行こうかと考えていたのですが…すれ違いになってしまいますね。」 興奮を抑えて言うと、健介の悪戯っぽい表情が頭に浮かぶ言葉が聴こえた。 『水葵…小籠包好きなんだけどね?近くに中華街があるし、一人だと少し怖いから行けないでいたけど、大分慣れたから日曜日にお土産を買いに行く目的とお昼ご飯の目的で中華街に行ってからその足で新幹線に乗るつもりでいると話していたよ。』 「えっ!じゃあ、日曜日の午前中には中華街にいるって事ですか?」 大きな声が出てしまい、すいませんと大樹は小さく謝る。 『ははっ…いや、正確な時間は分からないけど日曜の朝に水葵に電話して確認位はしてあげるよ。予定変更だったらメールするよ。これは良く神戸だと分かったなというご褒美と、知っていて教えなかった事のお詫びです。』 捜してくれている人に教えないなんてひどいですよね、と健介は言い、 『水葵も仕事も慣れて落ち着いた様ですし、昔みたいに叔父さんと抱き着いてくれる様になりました。ハキハキした明るい子だったの大人しい子になっていて大人になったからかなと…違いましたね。じゃあ、日曜日に。』 嬉しそうな声で言うと通話が切れた。 小さめのボストンバックを出して来て、着替えなどを詰め込むと、アッという顔をしてスケジュールを開いた。 「来週、日曜新幹線のチケットと、念の為、月曜と火曜の休み申請………火曜日の午前打ち合わせ、水曜に変更可能か明日連絡をしよう。よし!チケットと…。」 (日曜日の午前中に予定してるなら、早めに行った方が擦れ違いだけは回避出来ないかな?中華街に行くのを止めて新幹線に乗るとしても当日移動したら完全な擦れ違いだ。だったら…土曜日の仕事終わりで移動して、駅前辺りのビジネスホテルに泊まった方が…。うん、そうしよう。) 土曜日の新幹線の空席を見て予約をした。 まだ月曜日なのにな、と考えて少し笑い、大樹は両親に電話を入れた。
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