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翌日、3人はテニスラケットとボールを持って川原のテニスコートに来ていた。
結果から言えば、テニス初体験の元親と愛は、偶然ラケットにボールが当たる程度、長幸は、フォームがそれっぽいのに、タイミングや距離感が掴めずに空振りしてばかりだった。
3人とも散々な状態だったが、とても笑えた。
「ダメだなあ、流石に。」
その日の夜、長幸と元親は共に風呂に入っていた。
中学以降、テニスをやっていなかった長幸は笑いながら呟いた。
「でも楽しかったよ。」
満足そうな顔をした元親のその言葉に、長幸もそうだな、と返した。
「……おれ、もっとテニスとか色んなことやりたい。勉強ばっかりじゃなくて。」
元親の小学校は、勉強がメインだ。
よくある農作業体験や、スポーツ系のことは基本的な部分しかしない。
元親は実は、今の学校の勉強についていけていない。
それはスマホに通知票が届いていたので、長幸も知っている。
しかしこの学校の勉強のレベルは高いだけで、元親の頭が悪いというわけではない。
長幸はどうしたものか、と軽く頭を掻いた。
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