第1話・オッサンがキャバクラ嬢へ変身

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                 2 新宿にある1DKの部屋(マンション)で森高涼子と同棲していた麻生は、二人掛けソファの上で、彼女の膝枕で頭を撫でてもらっていた。 涼子は23歳のキャバクラ嬢。 (涼子は160センチで、宝塚の男役のような短髪、中性的な美少女) 麻生  「マジでムカつくんじゃ、ボケ!」 涼子  「仕事だから仕方ないじゃん。      いちいち感情を出してたら、やってられないわよ」 麻生  「電車乗ってりゃ、父親くらいの男に尻触られるしな」 涼子  「世の中なんてさぁ、みんな自分のことしか考えてなくて……      でも、そんな中で稼いで、生きていかなくっちゃならないからね」 麻生  「今はフリーターやけど、      将来の未来像(ビジョン)を考えんといかんな。      俺って何がしたいのか……自分でも分からへん」 麻生は求人誌『フロムX』を見ながら、 麻生  「他にもっと時給がいいバイトないかな……      涼子はいいなぁ、キャバクラってさ。      初めっから4、5千円もらえるん? 今、いくら?」 涼子  「一応1万2千円だけど、指名や売り上げが減ると下がるの。      確かにOLよりはいいけどさ。精神的に疲れるのよ水商売って。      とにかくセクハラだらけだし、口説かれるのが仕事だからね……      それに、若いうちだけの仕事だし」 フロムXに見入る麻生に、涼子は母性本能を感じた。 涼子  「光希って、一見するとオジサンみたいだけど、      透明感があるっていうか……声も細くて男じゃないみたい」 涼子、ラインが入った携帯を見るなり(PM.6時)慌ててパジャマの上着を脱 いだ。(パンティのみに) ライン 涼子ちゃ~ん、カラオケ『メロディ』で同伴だよね。     早く逢いたいなぁ。一緒に楽しく、ラブラブに歌おうね♡ 涼子  「いけない、忘れてたっ」 そして、挑発の視線を麻生に投げかけながらパンティを脱いだ。 涼子  (見て見て!) 麻生は何気なく、涼子のほうを向いた。 ペン字 ん? 視線を感じる……。 すると、涼子は一変した。体を前かがみにして左腕で両バストを、右手で股間 を隠した。 涼子  「見ないで、光希のエッチ~!」 麻生は、顔を隠すように再びフロムXを見た。 麻生  「今の俺は、それどころちゃうで」 内心じれったさを感じる涼子は、バスルームへ入りながら横目で麻生を見た。 涼子  「あなたが狼なら、こわぁくな~い♪」 時間の経過。 麻生、フロムXを横に投げてため息をついた。 麻生  「はぁ、求人は一杯あるけど、      本当に働きやすい職場なんてどれだけあるか?」 背もたれにもたれかかり、あらぬほうを見た。 麻生  「透明感かぁ」 ソファの横のサイドテーブル上に置いてある口紅に気付くと、それを持って目の前で見た。 麻生  「俺は男なんや……」 と、口紅を塗るわけでもなくテーブルに戻した。 バスルームから、バスタオルを上半身に巻きつけた涼子がルンルン気分で出て きた。逆に憂鬱な麻生は、天井を上目使いで見ながら腕組み状態で何やら思案中であった。 麻生  「……」 涼子  「どーしたの光希、そんな暗―く深―く考えこんじゃって」 麻生  「ん、いやぁ別に」 と、今度はうつむいて考え込む。 涼子はドレッサー前に座って、髪をドライヤーで乾かしながら、 涼子  「そんなにジメジメ悩んでもしょーがないでしょ。      人間は、自分だけに与えられた可能性を模索して努力しなきゃ。      そうしないと、将来つまんないオヤジになるだけよ」 時間の経過。(ドレッサー上の、化粧品の数々) 口紅を付け終わった涼子は(化粧完了)、鏡の前で顔を近づけて上下の唇をこ すり合わせた。カジュアルな服装である。センスもなかなか……と、彼女は鏡に映っている麻生の、ソファで寝ている姿を発見した。 涼子  「あれ、寝ちゃってる……」     「悪戯しちゃえ☆」
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