肝心なことは伝わらない

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海か~、いつぶり? なんてちょっとワクワクしながらペンを動かす。ちらっと彼女をみると、もうニュース番組には興味が無くなったようで漫画に手を伸ばしていた。 しばらく課題をして、時計を見るといい時間になっていた。今から移動すれば丁度いい。 「そろそろ行くか」 寝そべって漫画を読んでいる彼女に声をかける。 「うん、」 2人で部屋を出る。階段をおりてリビングに行くと母親は出かけているようだった。 出かけるって連絡しなきゃな。 家を出て並んで歩く。 いつも騒ぐほうではないけれど、なんとなく今日はいつもと違う雰囲気。 「なんかあった?」 あんまり暗い雰囲気にはしたくなかったので、繋いだ手を少し揺らしながら、少し明るめに問いかける。 「んー、」 考えるような、そんな感じ。 「あとで、言う」 少し俯いて、彼女が言った。 気になるけれど、彼女が言いたくなったタイミングで、と急かすようなことはせずに。 後で言うと言っているのだから待とう、と気持ちを抑える。
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