肝心なことは伝わらない

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道中特に会話もなく、今までにない雰囲気で落ち着かなかったが無事に海に着いた。 「ついた」 ちょうど夕日がキレイな時間。 真っ赤な海がなんだか少し寂しい。 「綺麗だな~」 海についても、どこか浮かない表情の彼女。 少しでもこの微妙な空気をどうにかしたくて、明るく言う。 水辺に近づく訳でもなく、遠くから海を眺める彼女。 「あのさ、」 やっと聞ける、と思いながら次の言葉を待つ。 「この間一緒にいた女の人、だれ」 そう言われた瞬間、頭に浮かんだのはアイツだった。見られていたのか。 「元カノ。でも、もうとっくに終わってる」 見られていたことについて最悪だ、とは思わなかった。何せアイツに興味がない。やましい気持ちももちろん無い。 「元カノと、カフェで何話してたの、」 「特に何も」 嘘は言っていない。アイツの馬鹿な話を聞かされただけで特に何も話していない。 ただ苦痛な時間だった。
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