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今日も世界は回る
「不幸は絶えないね」
つけていたテレビのニュースを見て、彼女がぽつりと呟く。
「そうだね」
ちらっと彼女をちらっと見る。テレビではなくどこか遠くを見ているような彼女が少し気になりなったが未だ終わる気配のない課題と向き合いながら、特に何も考えずにそう返した。
あまりニュースは見ないが、たまにつけっぱなしにしたテレビから流れてくるニュースは酷いものも多い。
それでも、他と比べると平和な国。
ご飯も食べれて、家もあって、服もある。
交通手段だって沢山あるし、行きたくないと思う時の方が多いが学校にだって通える。遊ぶところだって沢山ある。
「あ、私そろそろ帰るね」
課題をしていた手を止めて時計を見る。
18時か、結構時間経ってたんだ。
「送ってく」
「ありがとう」
立ち上がって部屋の扉へ向かい、2人で部屋を出て階段をおりる。
「母さん、春香送ってくる」
「お邪魔しました」
晩御飯を作ってる母親に声をかける。「気をつけてね」と言う母の声を背に玄関を出て、少し暑いけど手を繋いで歩く。
「明日どうする?」
2人とも部活には入っていないため、夏休みはほとんど毎日お互いの家に行ったりどこかへ出かけたりしている。
毎回同じ問いかけをして、何をするか決めとく時もあれば決めずにその日の気分の時もある。
「ごめん、明日はちょっと用事があって」
「りょーかい」
確かにほとんど毎日一緒にいるが、一緒にいない日もある。だから別になんとも思わなかったんだけど、なんとなく違和感。
「じゃあ、また。連絡する」
「おう」
彼女の家の前について、繋いでいた手を離す。家の中に入るのを見届けてから来た道を戻る。
ちょっとずつ暗くなってきた空をみて、明日は何をしようかと考えた。
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